第30章 ダーレイグループの責任者

目の前に下っ端の社員までいるというのに、あそこまで言い返されてしまっては、石野星紀の顔は完全に潰れた。カッと立ち上がり、手のひらをテーブルに叩きつける。

「俺はお前らの発注側だぞ!」

有岡里穂が眉を上げる。

「それで?」

彼女はゆっくり椅子へ座り直し、指先で黒いペンをくるりと回した。

「石野さん。もう一度だけ言っておきます。今のダーレイは阿部グループの傘下です。たとえ痩せても駱駝は馬より大きい――そのくらいは皆さんもご存じでしょう。もし本気で協業する気がないなら、将来のダーレイは石野グループ一社にこだわりません。それに、ダーレイのコア技術はスマートホームだけに使えるものじゃ……」

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